「それだったらできそうです」長年、家事はこなしつつも仕事はしてこなかった50代の男性でした。ご家族の相談を半年ほど続け、お兄さんの定年退職の見通しが出てきたことで、本人さんとお会いすることができるようになりました。就労準備支援では、お仕事に近い取り組みの一環として、軽作業訓練というものを行っています。一定時間作業に取り組むことで、生活リズムや就労習慣を身につけていく過程なのですが、その方は作業に興味を持ち、自分にもできそうだと感じられることを伝えていただきました。まだ、仕事ではないので、本人さんが無理なく「それならできそう」を重ねて参加できるよう、支援の進め方を本人さんと話し合いながら計画していきました。まずは見学、そして体験。無理のない頻度で参加をしながら、「そのペースだったら」と納得できるペースで行っていきました。強制ではないので、難しいと感じたなら別の方法を考えていけばいいのです。作業には黙々と集中して取り組まれ、終わるといつも「疲れましたけど、時間はあっという間に過ぎました」「何か自分が取り組むものがあるというのはいいですね」となんだか清々しそうに帰っていきます。もちろん今後の生活の心配はあると思います。しかし、いまの「これならできそう」から状況は変わりはじめていくのだと、日々教えていただいているように思いました。