職場環境や人間関係に悩んだ末、自ら命を絶とうとした20代男性の事例です。利用までの経緯学校を卒業後、数年務めた職場が合わずに退職をされたBさん。職場でのトラブルに心が疲れ切ってしまったため退職後は新しい仕事には就かず、自宅に引きこもりがちになりました。ある日、Bさんは思い悩んだ末に建物から飛び降りてしまいます。発見したご家族により病院へ救急搬送され一命を取り留めましたが、下半身不随となりました。退院後しばらく経って心身ともに回復し始めた頃、ご本人が「自立した生活を送りたい」と希望されたことがきっかけで、あいち福祉振興会の就労移行支援事業所に通い始めました。重点的に行った支援や訓練コミュニケーション力を高めるための支援を重点的に行いました。当時Bさんには、2つの課題がありました。ひとつは、不安や悩みなどを積極的に周囲に伝えることが難しく、一人で抱え込んでしまうこと。もうひとつは、対人コミュニケーションにおいて、物事の理解や認識に差異が生じることがあること。そのため、就労移行支援事業所の職員との関わりと日々の訓練活動を通じて、他の利用者さんとの協力や連携を意識して取ってもらえるよう、繰り返し伝えていきました。好転したことや気持ちの変化自分の感情や思いを、適切に伝えられるようになりました。過去の出来事から当初は人と接することにとても緊張されていましたが、通所を続けるうちに次第に表情が柔らかくなり、笑顔も出るようになりました。また、持前のリーダーシップを発揮し、利用者さんをまとめる等、他者との関わりも積極的に持てるようになりました。ご本人が自分についての出来事や考えを、周囲に話す姿を見かける機会も出てきました。利用者さんの現況職業訓練を経て一般企業に就職されましたが、退職をされ就労移行支援事業所に戻られました。最初は順調に業務に取り組めていたBさん。仕事に慣れたことから徐々にミスをすることが増え、その心配から仕事を続けていくことに不安を持つようになりました。職員や就業先の担当者とも相談し、現状のままではいずれより強い不安や精神的な負荷で仕事を続けられなくなるだろうと考え、一旦退職をされました。今は就労移行支援事業所で、新たな課題に向き合い始めています。